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2007年7月15日 (日)

BTOU2006レポート ETAP3(8月9日) その7 ゴビハイウェイ2

くっきりと刻まれたピストを110キロで巡航しながら、徐々に近づくCPを確認する。
CPには、先程から後姿を追う赤いマシンが停止していた。

三谷さんの後姿に見えたそのマシンは、#15のオレンジのKTMだった。
こちらが減速に入ると、#15は先を急ぐように発進して行った。
そういえば、SSスタートに移動するとき、ちょうどスタートしていったのも、オレンジのKTMだった気がする。
CPでマシンを停止させ、チェックカードをオフィシャルに渡しチェックを受ける。
既に、KTMは小さくなっている。
勝負をするつもりは無かったが、もしかしたらモンゴルを走りなれているライダーで、走り方を盗めるかもという期待もあり、とりあえず視界に捕らえておきたいと考えて、直ぐにマシンを発進させた。

ピストは硬く綺麗で、視界も広い。
非力なXR250だったが、直ぐに110キロ台に速度は乗り、KTMを視界に留めることができた。
周りは、土が乾ききった色のグレーの世界で、ポツポツと生える草が、わずかに青と灰色の2局の世界に彩を添えていた。

ともかく、出せるだけ出せる路面なので、直ぐに全開状態になる。
ラリー前に、車体を含めフルオーバーホールを施しただけに、故障するという不安は少ないのだが、さすがに全開巡航を長時間する勇気は無い。
全開からアクセルをちょい戻し、ICOの表示を110キロ近辺をうろつくように調整する。
どうやらKTMも同じ速度らしく、距離は変わらない。

たまに、ピストの溝に凹凸があり、車体がジャンプするのだが、手をいれたサスペンションは、難なくそのショックを吸収するし、SCOTTSのダンパーがハンドルのブレを瞬時に押さえ込む。
ただただまっすぐ続く直線とうなりを挙げるエンジン音だけが、世界を埋めている。
その果てに、小さくKTMが逃げるKTMは、蜃気楼のようだった。

しばらくするとコマ図には、交差するピストを右に90度曲がる指示が現れる。
さっきのCPの手前で、ターン後にピストを一瞬見失ったのを記憶していたので、ピストの交差を見逃さないように目を凝らす。

ターンまで2キロ、1キロ。
あれ、KTM直進していないか?
500mに近づいても、先行するKTMが右折した気配は無い。
あと300m。
そのとき、進行方向前方に位置していたKTMが、急に右方向に走り始めた。
え、あそこが分岐なのか。
しかし、直ぐに直行するピストが現れ、距離も100~200m誤差くらいで右90度ターンが可能な分岐が見つかった。
KTMはどうやら、その数百メートル先でターンしたようだ。

そこまで進んで、KTMの後を追うか?

一瞬判断に迷ったが、自分のナビゲーションを信じ、右にターンする。
KTMは左前方に位置し、土煙を挙げて加速している。
そのKTMを左手に眺めながら、自分の選択したピストを走る。

直ぐに路面は茶色変わり始める。
直進だったピストは、若干左に流れながら、そして10本以上パラレルに、モンゴルの平原を引き裂きながら突き進んでいく。
先程まで平地だった世界にアップダウンが生まれ、穏やかだった世界はリズムを刻み始める。

左前方に位置していたKTMは、徐々に中央に移動し、やがて同じピストを走る。
どうやら、同じ方向を走るピストは何本かあり、KTMが選択したピストも結局は同じ場所につながったようだ。
距離は先程よりは縮まり、200mほど前方になる。
追いつきそうな距離だ。

時速120キロで、カーブに入る。
ステアリングに貼り付いたナビゲーション機器の上に、ピストが延びる。
フロントとリアが、路面に押さえつけられ、車体が沈む。
ピストの先を睨むと、ナビの位置にあるスクリーン越しに景色を見ているようで、コクピットにいるという感覚があった。

赤茶けた大地、薄くまばらに生える緑、高所特有の深い青の空、突き進むマシン。
ピストは丘を何度も越えながら、地平線に続いている。
丘の稜線でピストは一瞬途切れ、位置をずらして再び先に進む。
丘を何度も越えるそのラインは、まるで波のようだ。

KTMは、誘うように前方を走り続ける。
時折、コマ図に示されるシングルコーションも、KTMは余り減速しない。
最初は、大きくブレーキに入力したが、KTMが平気で突っ込みので、それはアブねえだろうなあと、自分に突っ込みを入れながら、ただ、KTMの走りはまるで走りなれた風で、そのスピードについていっても危険が無いと思えたので、やがて自分もKTMと同じスピードでシングルコーションを走り始める。

ETAP3後のキャンプでトップグループの選手に聞いたのだが、彼らは140オーバーで巡航しているため、シングルコーションでも、溝が立ち壁気味になっていると、その衝撃に転倒することがあるらしい。
ETAP3の最後のほうの、あるシングルコーションの溝で、トップグループは軒並み前転したそうだ。
確かに、その溝は、自分のスピードでもマシンが跳ね上がり、結構ビビッた場所だった。
そのときに、調子に乗ってシングルコーションに飛び込むのはやめようと思い直したのだった。
だが、この時点ではまだ怖い思いになっていないので、スピードは維持していた。

シングルコーションに平気で突っ込むKTMも、意外なことにピストが丘を跨ぐときは大きく減速する。
最初は疑問に思ったが、いくつか丘を跨いでいくと、その理由が分かった。
丘を跨いだピストは、丘を巻くように曲がりながら下ることがある。
つまり、丘に全開で登るのは危険なのだ。
これは、BTOUの中で、非常に重要な学習だった。

平行するピストを、互いの位置を守るように、ピストをずらして走る。
何本も併走するピストを、まるであみだくじのように選びながら進む。
巡航速度は110キロオーバー。
だが、怖さは無く、ただ軽量の飛行機で浅く旋回するように、ピストの上を飛んでいた。

しばらくするとKTMが、疲れのためかわずかにスピードを下げた。
別のピストを走る2台は、やすやすとそのポジションを替える。

追っていたとはいえ、自分でスピードを手に入れたという実感が、そのままのスピードで先行することを許したように思う。
時折見るミラーで、KTMが付いてきていることが分かる。

ゴビハイウェイは、いったいいつ終わるんだという悪態をつきたくなるほど、続いた。
遠くに見えるグレーの山は、ピストが左右に曲がるたびに、横に移動するだけで、なかなか接近してこない。
だが、退屈ではなく、至福の時間だった。

どれくらい進んだだろうか。
コーションマークが続くコマ図に、久しぶりに鉄塔らしき構造物があらわれる。
そして、町もその次のコマに描かれている。
もう直ぐ終わる。

左右から、太いピストが交わり始め、地理的な拠点に近づいているのを感じる。
そして次の丘の上に、目印の鉄塔が見える。
丘を登ると、はるか先には銀色の光を放つ構造物と町が見えた。
鉄塔左を進み、あそこへ・・・・・

そう思った瞬間、フロントが急に流れ、フロントから足をすくわれた。
スリップダウン。
いつもの癖か、マシンからはなれるように体は回転し、痛みも無く地面に横たわる。
状況を確認するために減速していたため、きつい転倒ではない。
振り返ると、マシンは深いピストに、まるでマディーの日のようにはまりこんでいた。
どうやら、気付かないうちに深いピストに入り込み、ハンドルがどちらかに切れた時に、急斜面を浅く登るような格好になり、フロントがスリップし切れこんだらしい。
直ぐに再スタート。
そう考え、マシンを起こす。
ダメージは浅いようだ。とりあえず、フロントタイヤを蹴飛ばし、ハンドルのずれを直す。
路面はグレー、日差しは強い。
どうやら、陰影の無い景色のせいで、ピストの深さを見過ごしたらしい。

ともかく、マシンにまたがる。
セルを回す。なかなかかからない。畜生。
キックペダルを出す、何度も踏みおろす。
なかなか反応しないエンジン。
もう一度、セルに切り替え、エンジンを回す。
ボスボスとエンジンがかかり始め、やがてアクセルに従う。

そして、スタートさせようと、コマ図を確認する。
その先は、まっすぐ町に向かい坂を下り直進するだけだ。
ただ、なぜか、コースを把握できない。ボーとしている感じなのだ。
気持ちは正常なのに、感覚が戻ってこない感じだ。

とりあえずマシンを進めるが、スピードを上げられない。
とろとろとゆっくりと前に進む。
視界の先には、KTMが町に向かい平地を走る姿がある。
あれを追えばいいだけなのにと今なら思えるのだが、そのときは、妙にゆっくりとしか走れなかったのだ。

ともかく、行き先は分かったので、走れるスピードでゆっくりと町に向かう。
その過程で何台かにパスされたようだか、良く覚えていない。

そして町に着くと、ガソリンスタンドに設けられたゴールがあり、そこにやっとマシンを止めた。

オフィシャルにカードを渡すと、キャンプ場は、来た道を戻る方向にあり、見えていたでしょといわれるが、ゴメンナサイ。見えていませんでした。

徐々にのしかかる疲れを拒否できずに、ゆっくりとガスを給油し、終わると同時にガススタンドの脇に座り込む。
いやあ、実は疲れていたかと苦笑する。
キャメルの水が喉を潤す。

10分ほど経っただろうか。
鉄塔の方向から、見覚えのある赤いXRが現れる。
三谷さんだ。
「毎度ー、野村さん元気ですか? もう、ゴビハイウェイ、びんびんにきましたねえ・・・・」
案の定、体力があまっている三谷さんのテンションは、思いにふける静かな気持ちに、強烈に波を立てた。
いやあ、このテンションはきついわ。
「まあ、気持ちよかったですよね・・・」と適当に相槌を打ちつつ、そのテンションから逃れるように、XRにまたがりキャンプを目指すことにした。
幸い、この後、疲れ切ることは無かったので、彼のテンションを楽しむことができたが、このテンションに苦しめられる参加者がいるんだろうと思うと、ちょっと可笑しかった。


まだ日は明るい。
今日はじっくり休めるはずだ。
その喜びをかみしめながら、キャンプのゲートをくぐった。
ETAP3が終わった。

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コメント

その日は右に長~い砂丘を見ながら、そこを越えるとCPがあり、360度何も無い、長~いゴビハイウェイが続いたのが印象的でした。
そのあとキャンプまでの道のりで、サブフレームのボルトを失ったのですけどw

投稿: のりお | 2007年7月17日 (火) 20時44分

のりおさん

砂丘、綺麗でしたね。
絶対入りたくなかったけど。
ゴビハイウェイは、気持ちよかった。
願わくば、250じゃなくて450くらいの排気量のマシンで走りたかったです。


ところで、福井でのトライアル、いかがでした。
会場は敦賀でしたか。
青いマシンの会社に転職前は、福井に住んでいて、敦賀のトライアル場に何度か通ったことがあります。
福井のトライアルの皆さんは元気だったでしょうか。

私も、最近チャリトラからアタックツーリング、トライアルへとステップアップを画策しています。

サブフレーム折れたのって、ETAP7でしたよね。
原因は、このボルトを失ったことですか?

投稿: ノムラ | 2007年7月19日 (木) 01時29分

福井は今週末だすw
ノムラさんもトライアルですか!やる気マンマンですねw
サブフレームが折れたのはetap8ですね。
ボルトせいか?度重なる転倒のせいか?荷物(自分も)の載せすぎか?金属疲労か?
原因は不明です・・・。

投稿: のりお | 2007年7月19日 (木) 12時48分

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

投稿: 履歴書の書き方の見本 | 2014年6月 3日 (火) 10時19分

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