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2007年1月 7日 (日)

BTOU2006レポート ETAP3(8月9日) その4 リエゾン

チェックカードをオフィシャルから受けとりながら、周りを見渡す。
CPは村の中にあった。
村人たちは、興味深そうにCPの周辺に群がり、道を挟んだ広場では子供たちが遊んでいた。
もどかしげにカードを、ラリージャケットの袖のポケットにしまい、リエゾンのスタートのコマ図までマップを送る。
次のSSまでの、マキシマムタイムは3時間、距離はおよそ60キロ。
単純に考えれば一時間前後で移動が可能な距離である。

つまり時間に余裕がある。

昨日の深夜の走行の疲れ、到着が遅くなったことによる睡眠不足、そしてさっきまでのSSが思った以上にハイスピードコースだったことによる疲労の蓄積、それらを考えると、3時間という時間をフルに使って体を休めたほうが良いと考えた。
加えて、朝のブリーフィングでは、後半のSSはゴビハイウェイを含むという話だったので、アベレージは高いのだろう。ならば、リエゾンをマキシマムタイムぎりぎりで走行しても、時間に余裕はあると判断できる。

ともかく、リエゾンのゴール地点の給油所に確実に到着し、そこで体を休めよう。
これで、リエゾンの戦略は決まった。

自分の判断に納得しながら、リエゾンに向かってXRをスタートさせた。

小さな村を進むと、先ほどまで併走し村の入り口で離れた川が、もう一度右側に併走を始める。
道の右側には、細かい石垣のような高さ30cmほどの壁があり、川と道とを隔てている。
これまで、川と併走することは多かったが、堤防などの人工的なものは無く、ここにきて初めて人工的な物が川と道とを別つことに、小さな驚きを覚えた。

道の左にはコンクリの壁が続いている。壁の向こうには、共産圏のような(すいません、良い表現が見つかりません)色あせた建物が続いていた。
CPから2キロほど進んだコマ図に「保養施設」という記述があった。
コンクリ製の壁が途切れ門になり、読めない看板が掲げられ、その奥に数階建ての茶色い建物があった。

後で聞くと、そこにはモンゴルでも数少ない温泉施設であったらしい。
渡辺さんか大塚さんだったろうか、そこに入ってみたいと思っていたそうだが、結局入らなかったそうだ。

道には、人が歩き、たまにバイクや車が通り、埃っぽい空気が漂う。
人が少ないエリアを通るSSを終わり、緊張も途切れていたのか、人の気配が妙に和む。
しかし、村は数キロで終わり、人気の無い谷を進むことになった。

谷はときおり狭くなり、山肌を巻くように道が続く。
谷が広い部分では、平地部分に緑が敷き詰められ、緑を切り裂くようにピストが複数になり併走する。

結局、谷が狭くなるとピストは1本に戻るのだが、相変わらずピストが併走する区間は気が休まらない。

6.5キロ地点から木の橋が3つ続くことが示される。
だがその前に現れたのは、併走するピストの一方が左の山を登り、一方が川に沿って谷底を進む分岐だった。
まずは、左の丘の方に進むが、距離を確認し忘れたのか、木の橋が現れる場所で橋が見当たらない。加えて山を巻くように進むルートには、この先も橋が無いような気がした。
右の谷底を見ると、川に併走してもう一方のピストが伸び、谷が狭まり、ピストと川がクロスしていた。

橋がありそうだな。
ふと、そんな考えが浮かぶ。

一度、あちらのピストを探ってみるかと、マシンの向きを変える。
しばらく戻ると、#22荒木さんがおり、声をかける。
荒木さんも、この先に橋が無いと思っており、同じように谷底のピストを調査しにもどるつもりだったらしい。

分岐に戻り、谷底のピストを進む。
しばらくいくと、一台のXRがピストの左側に止まっていた。
右に併走していた川は、ここで急に左に曲がり、ピストを跨いでいた。
左に止まっている#31をつけたXRは、どうやら水没したらしく、選手がキックを繰り返していた。
修理の様子に興味があるのか、数人のモンゴル人が、#31を取り囲んでいた。

このまま進むには、10mほどの幅の川を渡らなければならない。
川を調べるために、一度マシンを降りる。
川を見ると、深さはやはりひざ程度だが、これまでと違い流れは緩やかだった。

川の様子を伺っていると、先ほど来た方向から#27清水さんが現れ、そのまま躊躇することなく渡河を開始し渡りきった。

やはり、それほど難しくないということか。
乗ったまま渡ってみるか。

XRにまたがり、XRを川に進める。
以外に水の抵抗が強く、また川底の石も大きく、バランスが難しい。
川の出口付近でふらつき、川を渡った瞬間にバランスを崩し足をつき、支えきれずにマシンを横たえることになった。

#27清水さんはそのまま先に進み、谷の向こうに消えていった。

XRを起こし、一息つく。
水没を免れたことに胸をなでおろし、緊張を解くようにゴーグルを外す。
対岸では、荒木さんが休息を取り始めており、#31のXRはまだエンジンの始動を試みていた。

しばらくすると、これから向かう先からエンジン音が聞こえてきた。
その音はだんだん大きくなり、やがて参加者らしい姿が見え始める。
#27清水さんだ。
すぐに清水さんは自分の横に並び、停止する。
「この先、ずーっと橋がない。このルートは間違っているよ」
清水さんが声をかけてくる。
「じゃあ、山のほうのコースが正しいってことですかね」
視線を山の方に向けると、山の中央部に道路が横切っているのが見え、選手と思われる一台のマシンが、そこを走るのが見えた。
「さっき、あそこ走ったんですよね」
自分でそう言いながらも、間違っていると判断した根拠があいまいなことに、苦い気分が湧くのを感じる。
「あの選手がこっちに来なければ、あっちが合ってたってことですよね。ほかの選手もあそこを走るでしょうから、ここにくる選手が少なければ、あっちが合っていると考えれますよね」
自分のこれからの判断条件を確認するように、言葉をつなげる。
「戻りますか。川の向こうに」

清水さんは乗ったまま渡河を開始する。
中央部に達したとき、突然清水さんのXRが停止したように見えた。
次の瞬間、清水さんとXRは横に倒れ、XRは水に沈んだ。

水没。

思わず、清水さんのXRに駆け寄り手をかける。
すぐに2人でXRを起こし、対岸に渡す。
しかし、多分水は吸ってしまっただろう。
二、三言、清水さんに声をかけると、大丈夫だという返事が返ってきたので、とりあえず自分のXRに戻る。

今のアクシデントと、先ほどふらついたことにおびえた自分は、マシンを降り、XRを押して川を渡った。

清水さんは、既に水を抜く準備を始めていた。
その手際は恐ろしく良く、手馴れているようだった。
プラグを抜き、空キックを繰り返す。エアクリーナーを外し、水を絞る。
水抜きの基本作業の繰り返しで、XR600は息を吹き返した。
話を聞くと、やはり日ごろの走行(ゲロアタック)で、水没は何度も経験しているらしく、水抜きは慣れているらしい。

XR600の水抜きを終えると、清水さんは#31の選手に近寄り声をかける。
そして、水没の様子などを聞きながら、作業に加わっていった。

先ほど山に向かった選手は、結局戻ってこないようだった。
その後、AUTOを含む数台が、山のルートに向かったのを見るが、引き返しては来ない。
それは、コースは丘越えのルートが正しいことを示している。
自分はというと、続々と多くの選手が現れるので、この先は間違っている可能性があること、川渡りに注意することを告げる管理人になっていた。
今朝もらったランチパックをほおばりながら。

川のそばには1時間ほどいただろうか。リエゾンスタートから1時間30分が経過している。
リエゾンの制限時間は3時間。つまり、残り1時間30分。
残りの距離は50キロ以上。
これからもミスコースの可能性があるので、その余裕をみてそろそろ出発すべきだろう。
#22荒木さんも、休憩を終え出発した。

#27清水さんに声をかけると、もう少し#31の復旧を手伝うというので、出発することにする。

山のルートを戻り、しばらく走ると、木の橋が現れる。
やはりこのルートが正しかったらしい。
じゃあ、なぜさっきは間違っていたと判断したのだろう。
先ほど引き返したポイントは、橋の手前数百メートルの場所だった。
距離を読み間違えていたのか・・・・・・。もう少し先に進めばよかったのに。
合っているか間違っているか、それを判断する、明確で・効率的な方法を身につける必要があると自分に訴え続ける。
だが、その難しさも身にしみていた。

その後、コースは穏やかな山岳部をアップダウンしながら進んでいった。
スガワラ峠から見た景色では、山は灰色の表面に草が生えたような山が続いていたが、リエゾン中は、山の表面は灰色と茶色を混ぜたような色に変わり、ピストは明るい茶色に代わっていた。

途中、ピストが分かれ、一方のピストには石が道をふさぐように、30cmくらいの間隔で並べてあった。
遠方を見ると、この先は下りで、下った先でピストが合流しているので、どちらを走っても問題なさそうだ。
石の間をくぐり先に進むと、ピストは急な下り坂になり、その先にゲルが現れた。
ピストはゲルのすぐ横を通り、山を下る。まるで、人のうちの庭を無断で走るようなものだ。
ゲルの外には、子供と母親らしき女性がおり、十分に減速しながらであるが、その側を通過するとき見た表情は、迷惑そうなものだった。
どうやら、ピストの分岐付近に並べられた石は、ゲルの住民が居住範囲に競技車両が進入しないように置いたものらしかった。
モンゴルは広く、まるで、どこを走るのも自由に感じる。
だが実際は、やはり緩やかであるが走る場所に制限はあり、モラルによって守られるべきルールがあることを再認識する。
侵してはならない領域に立ち入らない。
それを出来る限り守らなければ、BTOUが得ている広大な空間は、どんどん縮小していくだろう。
女性が、こちらの謝罪の気持ちを理解できるかは分からないが、側を通る時に頭を深く下げた。

40キロ地点あたりで山岳地帯は終わり、穏やかな丘陵地帯になる。
アップダウンはあるが、丘を上り下りする穏やかなものだ。

49キロ地点くらいで、突然、走行していたピストが、幅10m以上の幅広いピストに合流し、吸収される。
ピストというより未舗装の道路と言ってよいだろう。
道路は、ずっと先まで直線的に続いており、路面が深い茶色だった。
路面はローラー車のようなもので展圧されている。
だが、完全に締まってはいないらしく、ほかの選手が走ったタイヤの跡がくっきりと残っていた。
しばらく走ると、路面が展圧されたいない緩い状態になったり、道路の両脇が丘の斜面を削って土が大きくむき出しになっている。
その余りの新しさに胸騒ぎを覚える。
試走の時から、この道路のようなピストがあったのか、

道路から、狭いピストが右に分化していく。

右のピストは、道路に50mくらい間隔をあけて併走を始めた。
道路には、時折ローラー車等の重機が置かれ、路面も安定していない場所もあった。やはり、この道路は現在建設中らしい。
問題は、試走時にこのピストがあったか、そして走ったかだ。

右の併走するピストに移動するか、道路を選ぶか、決断が出来ないまま、次のコマ図に近づく。
リエゾンゴールの町に向かう重要な分岐だ。
果たして、コマ図の形状の分岐は無く、だが村に向かう道はあった。
やはり、右のピストが正しかったようだ。

コマ図の絵に示された町は近い。
新しいピストを出て村に向かうピストにのった。

町に入る。
コマ図に指示された看板を確認すると、その直後、道が舗装路に替わる。
間違いない。リエゾンのゴールに向かっているのだ。

リエゾンのマキシマムタイムまで残り15分。リエゾンスタートから既に2時間45分が経過していた。

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コメント

おおお、この場所、温泉がありましたね、私はリエゾンの入り口、でマップケースやら、ICOを支えているスタンドを固定するゴムブッシュが連日の振動によりちぎれ、マップケースがぐらぐらする、アクシデントを発見、応急修理をしました、このため、モンゴル唯一の温泉に漬かる時間がなくなってしまいました。もうひとつ、このとき、SS通過確認のスタンプをもらい忘れ、ラリーパパが教えてくれるまで、数キロ進んでいました。簡単なことが忘れてしまう状況、たぶん頭も、体も第一のピークだったのですね。

投稿: 天丼まん | 2007年1月 7日 (日) 11時56分

天丼まん様

 私のピークは、ETAP5,7でした。
 スタンプ無しはCP不通過ですよね。
 危なかったですね。
 
 モンゴル温泉は、一度行ってみたいですね。

投稿: ノムラ | 2007年1月 7日 (日) 23時47分

#31XRさんの所には私もミスコースして行って来ました。
その頃にはもう1時間以上キックを繰り返していたらしくて、絶望的な表情をしていたのを忘れられません。
復旧作業を少し手伝い何度かキックしてみましたが、手応えが感じられませんでした、残念です。

天丼マンさん
そういえばあの時ビバークでゴムブッシュをあげる約束をしていたのに来られませんでしたね?
やはり私のやつも千切れて交換になりましたが、あと2つも余っていたのに(笑)
私は自分のことでいっぱいいっぱいで気づきませんでした。
申し訳ない(T_T)/~~~

投稿: のりお | 2007年1月11日 (木) 02時12分

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