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2006年12月24日 (日)

BTOU2006レポート ETAP3(8月9日) その3 スガワラ峠へ2

空に向かって駆け上がったはずだったが、傾斜が緩くなった先に待ち受けていたのも谷の底だった。
一段階段を上っただけ。
入り込んだ谷は、やはり奥に向かって谷が細長くなっていき、その先には厳しい傾斜の山が立ちふさがる。
この谷の奥から、あの山を一気に上り詰めるのだろう。

しばらくいくと、ピストは細い車輪の跡となり、カレ沢に入り込んだ。
草の中に岩のように大きいガレが隠れ、時折草が無くなり、大きなガレばかりのガレ場となった。
何度か草が茂る路面に戻るが、路面を隠すだけで、岩のようなガレがなくなることは無い。
岩の間隔は狭く、車がその間を縫って走れるとは思えない。
乗り越えるにしては岩は大きく、すぐに亀の子状態になると思われる。
車はどうやって通っているのか。

ガレ場に入ると、TRAM ACPのプリウス、ハリヤー、ランクルがいた。
そのときは、プリウスが岩の密集するところを進もうとしている最中だった。
何人か、ハリアーの周りを囲み、どうやら車輪を通す場所を指示しているようだった。

しかし、本当にこんなところを通すのだろうか。

岩は、高さ30cm以上の立方体のような形で草の間に、まるでチェスのコマのように配置されている。
どこを通っても、間違いなく岩に行く手をふさがれるだろう。

バイクも、進むにはトライアル的なライディングが必要になりそうだ。
草に潜んだ大きなガレを避けながら、スタンディングで、ハリアーの横を通過する。

ETAP3ゴール後に、ハリアーを駆るTramACPの横田さんに聞いたところ、車輪を岩の上に乗せ、ブレーキアクセルを駆使して、トライアル的に車輪を岩の上に跳ねるように通す技があり、その技を駆使し亀の子状態になるのを避けているそうだ。
その話を聞くと、車がピョコピョコと弾みながら岩を移動する漫画的な絵が浮かび、笑いが浮かんだ。

ガレ場を越えると、茶色いピストが再び現れ、谷の奥に続いていく。
ただ、谷は急速に狭まり、山に行く手を阻まれている。
数キロ谷の奥に進むと、ピストは山に登り始める。
114キロ地点に木の橋が架かっていた。
その橋は朝のブリーフィングで、「穴が開いているのでAUTOは車輪を落とす危険がある、ナビを歩いて先行させて、穴に落ちないように誘導を行うこと」と説明されていた。
コマ図でも黄色く塗られていたが、バイクではまったく注意が不要な程度で、緊張することなく通過する。

橋を越えると、急激に登りがきつくなり始め、直登気味に高度を上げていく。
振り向けば、これまで進んできた谷が細長く前方に伸びるパノラマがあるはずだが、非力な250ccが、勾配の厳しさにうなりを上げるので、後ろを振り返る余裕も無く、ただひたすら上り続けた。

そろそろ登りきるか。そう思えるほど、ピストの果てに青い空が広がる。
次のコマ図には、オボーが示される。
ピストは細く、低い草の中を一直線に続いている。
不意にオシッコがしたくなり、後ろを振り返り後続がいないことを確認し、急いで用をたす。
周りを見渡すが、期待した谷のパノラマは無かった。巨大な存在感のある大きな山が、重なり合い視界を埋めていた。
前進する方向には山の稜線が続き、あの向こうに行くのだろうとぼんやりと考えた。
用をたしおわるころ、後方遠くに#27清水さんが現れたので、急いでバイクを発進させる。

稜線が迫る。
峠はどこだろう。
既に標高は3000m近くに達しているだろう。
高地であるモンゴルに合わせて、キャブのジェットを落としておいたXRだったが、さすがにこの高度ではエンジンの回りが重い。
後少しで、コマ図はスガワラ峠を示しているのだが、稜線を越えるピストは見えない。
どこが峠なんだ?
やがて傾斜はほとんど無くなり、やはり稜線を越えるピストは無い。
前方に、青い旗がはためく、大きなオボーが現れた。
ピストはオボーで左右に分かれており。
コマ図では左に折れるように指示されている。
ここが、スガワラ峠なのか。
ピストを左に曲がり、オボーに背中を見せた瞬間、目の前にパノラマが広がった。
今いる山は、さらに山脈となって視界中央から右側に伸びている。
視界左側には、別の山脈が連なる。
そして視界中央に、深く細い谷が割れ目のように遥か遠くまで伸びている。
コースは、徐々に高度を落とし始め、前方数百メートルで、急に落ち込んでいるようだった。

そうか、山の稜線を跨ぎはしなかったが、谷から別の谷へと移る山岳ルートの最高地点がスガワラ峠だったのか。

目の前に伸びる谷間は、わずかにかすんで、現在地点との高度差を感じさせる。
晴れ渡った空は、かなり遠方まで視界を提供する。
遥か彼方まで見渡すパノラマ、木が無くのっぺりとした山肌をもつ山々が延びる映像は、妙に距離感が無く、大きさが把握できない。
いろいろな物が視界に存在し、相対的に距離感がつかみやすい日本の風景との違和感が、戸惑いを生んだ。

スガワラ峠から2キロ。
緩やかにカーブを重ねながら高度を下げた道は、突然落ちるような角度の下りに変わる。
路面は急激な下り勾配のガレで、ブレーキを掛けようものなら、すぐに転倒してしまうだろう。
しかもその下り坂は左右に曲がるS字を描いており、キャンバー気味の路面はコーナーリングを妨げ、オーバーランを誘発させる。

下り坂の先は谷の始まりに接続し、この下りを終われば、谷をなだらかに降りる穏やかなコースになるだろう。

キャンバー気味の下り左コーナーを、体重を谷側にかけ、リアがブレイクすることに注意を払いながら下る。
ただ、今日は乗れているのか、下りに対する恐怖感は無い。
下りのスピードを落とさずに、マシンが少しづつ谷側に流れるスライドを楽しみつつ、一気に高度を下げていった。

谷に下りると、再び緑が広がる。
谷の根元から川が形成され、走行するピストの左側に伸びていく。
谷に伸びるピストは、分岐せずに続き、ミスコースの不安が無い。
たまに現れるカレ川に高速で突っ込まないように注意しつつ、しかしペースを上げて、ETAP3前半のゴールを目指す。
遥か彼方には、数本の砂埃が狼煙のように上がって、しかも奥に移動している。
誰かが走っているんだ。

谷の左の山肌に沿うように流れる川に、近づいたり離れたりと蛇行しながらピストは進む。
谷の平地は、背は低いが濃い緑の草が生い茂り、緑の絨毯のようだ。
138キロ地点の川渡が迫る。
昨日の川渡りを思い出し、多少不安になる。
急に緑の絨毯に、横方向に茶色い線が入る。
クラック?
XRに制動を掛け、緑の絨毯の裂け目の手前で止めると、その裂け目は地面を水が削り細く深い川になったものだと分かった。
川は狭いが急な段差で落ち込み、川を抜ける場所もステアケース気味の段差が待ち受ける。
川の中は、大きな岩がごろごろ並び、ハンドルを大きく取られそうだ。
乗って渡れないともいえないが、ハンドルを取られ転倒する可能性も高い。何より上り口のステアケースがいやらしい。
安全策をとり、XRを降りて、ローでクラッチを当てながらバイクを押す。
大きな岩をクラッチを急につなげた反動で越えながら、バイクを無事に対岸に渡す。

この川はコマ図には無い。注意していて良かった。

しばらく後方を走る、#36三谷さんと#29大塚さんたちは、この場所で漫才を繰り広げたと、ゴール後に聞いた。
慎重に押して渡り、#29大塚さんの手伝いをしようと、#36三谷さんは川で待った。
しかし大塚さんは、果敢(無謀)にも乗ったままでクレパスのような川にアタック。
川のガレで振られ、登りのステアケースで跳ね上げられ、結局川を渡り切ったものの、転倒してしまったらしい。
そのことを、#36三谷さんがキャンプ地で楽しそうに話すものだから、大塚さんの武勇伝は、瞬く間にエントラントの間にネタして広がっていった。

話を自分に戻そう。
その後、今度はコマ図が示す川に到着、水深は浅く、流れも緩やかなため、乗ったままで渡った
どちらかというと、クレパスのほうが危ないのに・・・・。おそらく、試走の段階では、あのクラックは生まれていなかったのだろう。
ラリー中は高速で移動しているので、コマ図以外にも注意を向けていなければ、減速せずにクラック等に突っ込むこともありえる。
先ほどのクラックに突っ込む怖さを想像し、注意力を維持しようと心に刻み込んだ。

145キロ地点。ゴールまであと少しで、もう一度大きな川が現れた。
今度は、昨日と同じように、ひざほどの水深で、幅も広い。
これは降りるしかないなと、減速に入ると、川の中央で停止し、こちらに手を振る選手に気付く。
#23渡辺さんだ。
彼とは、昨日も川渡りで一緒になった。
今日も一緒か。その偶然に驚きつつ、「どうしたんですか」と声をかける。
「川の途中でエンジンが止まった、エンジンがかからないので押すのを手伝って」と渡辺さんが答える。
さすがに、KTMは重量があるので、エンジンの助けなしで一人で押してわたることは出来ないだろう。
躊躇無く川に入り、KTMに取り付く。
その横を、#27清水さんが、XR600に乗ったまま、軽々と川を渡っていく。
その余りの軽々とした動きに、自分でも乗って渡れるのではと思えたが、やはり慎重に行きたいと思い返す。
ともかく、KTMを川から出さねば!「せーの」という掛け声と共に、KTMを対岸に押し出す。
KTMにスタンドをかけ、やっと息をつく渡辺さんに、「また川で会いましたね」と笑いかける。
一言二言言葉を交わした後、2人でXRの元にもどり、エンジンを掛け、エンジンの駆動力の助けを借りて、押して川を渡る。
昨日の経験があるためか、2人のコンビネーションは良く、簡単にXRを対岸に運んだ。
この後、渡辺さんは、近くにいたモンゴル人とタバコをネタにコミュニケーションに入り、自分は先に進んだ。

そして、村が現れ、村の中の広場に人だかりを確認する。
CPだ。
XRをCPにすべりこませ、チェックカードを渡す。
気分が充実していた。
心地よく、しかも力を十分に出して走りきった。そして、スガワラ峠を越えた。
満足感がじんわりと精神と体に広がるのを感じ、チェックカードを受け取るまでの少しの間、気分に浸った。

CPの回りで見物するモンゴル人の視線に少し照れつつ、CPを出た。
ETAP2の後半のSSのスタートは60キロ余り先。
谷はさらに続き、ここからリエゾンが始まる。

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コメント

いやー番頭さんの記憶力、頭が下がります。
ブログを拝見させて頂きながら、私も記憶の糸をたどっています。

番頭さんは走り出すと、むちゃくちゃ早く、
あれ本当にXR250?

投稿: 天丼まん | 2006年12月24日 (日) 23時53分

あの大きな石がゴロゴロした川はトライアルライダーでも乗ったままではクリア出来ないかも?
天丼マンとADV恐るべし!?
I町さんとかはどうやって渡ったのかな?
ウイリージャンプとか!?あの人ならやりそう・・

投稿: のりお | 2006年12月25日 (月) 04時19分

天丼まん様

 間違いなくXR250ですよ。
 そういえば、ラリー中も自分のXR250は、サスが妙に長いのでXR400と間違えられていました。
 記憶の糸は、私もなんとかたどりながら書いています。


のりおさま

 転倒したといっても、渡りきっただけでもすごいですよね、あの川。
 I町さんはウイリージャンプで軽々越えてる気がすしますね。 

投稿: ノムラ | 2006年12月29日 (金) 23時25分

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