« BTOU2007 ULANBAATAR-UVS | トップページ | BTOU2006レポート ETAP3(8月9日) その3 スガワラ峠へ2 »

2006年12月23日 (土)

BTOU2006レポート ETAP3(8月9日) その2 スガワラ峠へ1

スターターのカウントダウンを聞きながら、暖かな日差しと青い空に溶けるように遠ざかる#33桑島さんのTTRを見送る。
昨夜のゴールが、今のスタートラインだ。
昨夜、完全な闇に沈んでいた世界は、今は光に満ち溢れる。
そうか、こんな丘陵地帯を走ってきていたのか。
闇に浮かぶピスト、そしてはるか遠くに輝くランタンの頼りにゴールにたどり着いた昨夜と、光に満ち溢れた世界の違いの大きさに、当然のことながらも驚きがあった。
「10秒前」
スターターの声と共に、XRのシフトを1速に落とす。
ホンダ車特有の、ショートストロークで小気味良いカチリとした感触をブーツ越しに感じつつ、スタートを待つ。
「5・4・3・2・1」
さあ、行こう。
「スタート」
少しアクセルを明け気味に、XRを弾けるようにスタートさせた。

XRが飛びだしたのは、アップダウンの少ない丘陵地帯だった。
こげ茶色と灰色が混ざった路面が、背の低い草が覆う草原を、貫いている。
進行方向左に向かって、地形は低くなっていき、左手遠くを見ると、若干地形を俯瞰しているような景色が広がる。
つまり、今走行しているのは、非常になだらかな丘陵地帯で、丘の頂上部を走るピストだ。頂上部といっても、丘が非常になだらかなので、ほとんど平地と言ってよいのだが、左遠方に目線を移すと、低い丘の上から、遠方の平野を見たような感じだ。
丘の傾斜が非常に弱く、平野が非常に遠いので、遠くの景色はかすんで水色のフィルタをかけたような色になっている。
左に分岐するピストは、やがて丘を下り、その行き先を上から眺めるようになる。
ピストは広く、まだ迷うようなピストの並行・分岐が無い。
走り始めて10キロほどの間に、電柱の列と数回交差したが、このうちのどれかは、昨日夜間に目印にした電柱だったのだろうか。しかし、昨日は夜の走行だったため、景色は見えておらず、確認する術がない。

14Km付近にさしかかる。ここから10キロ、コマ図は無い。
走っているのは、数本が平行に走っている幅広いピストなので、このまま道なりにいけるので指示が無いのだろうが、ETAP1で、平行しているピストが実は分岐して行き、ミスコースしたことを考えると、気が抜けない。

案の定、左右のピストが直進方向と左方向に離れはじめた。
道なり方向は左と判断し、分岐したピストの行方を目で追いつつ、次のGPSポイントの方位を確認する。
離れていったピストは、それでも100mほど右手で併走をはじめ、その距離を保っている。
GPSポイントの方位は、進行方向なので、この段階ではどちらのピストが正解かは分からない。もしかすると、再度合流することもありえるだろう。
やがて、右のピストは、徐々に右方向に曲がり始め、丘の向こうに消えた。
しかし、その曲がり方がゆるいため、右のピストを走行したとしても、GPSポイントはほぼ正面に捕らえているだろう。
まだ、どちらが正解とはいえない・・・・。
不安を抱えつつ、ともかく前進を続ける。

28キロ地点、今日始めての村に侵入。
走ってきたピストを挟み込むように、家などが両側から迫ってくる。
やはり茶色が主の家並みは、空の青、背景の山の緑、地面と絶妙に溶け合っているように思える。
道端で、茶色い服を着た少年が、ぼんやりとこっちを見ていたのが記憶に残っている。
村に入るころには、何台かの前走者の背中が見え始めた。
オレンジのジャケットを着たKTMライダー、大塚さんだろうか。
この日は調子が良く、追いつくたびにパスさせてもらった。

村を出てしばらくすると、遥か前方には、低い山が横たわり、左手に送電線の電柱が進行方向に向かい並び始める。
このまま、あの山を越えていくのだろう。

いくつかの黄色いコマ図を通過し、山を少し巻くように高度を上げ、オボーがたたずむ峠を越える。
ViewPointと書かれた峠の向こうは、少しきつい下りで、視界の下方向が急に落ち込んでいるため、視界が大きく広がった。
白い雲を薄く引いた空と、灰色に緑が生えた山、そして灰緑の平野とピスト。雄大な景色をわずかに楽しみながら、下りを利用して負荷の少ない加速をXRに与えた。

山を降りしばらく進むと、再び送電線が寄り添ってくる。
かなり遠くに菅原さんのライノが確認できる。
同時にピストも太く、複数になり、再びピストの選択が始まる。
右手のピストには菅原さんのライノが走り、前方には数人の選手が見える。
ライノが走行するピストが、徐々に右方向に離れていくため、それに従いライノも離れていく。
やがてライノは、右手数百メートルに併走する送電線の下を走り始める。
コマ図にも送電線は描いてあるのだが、それは距離をおいて併走している図であり、ライノのように送電線の下を走るのはミスコースだろう。
しかし、ライノはまったく進路を変える様子もなく、送電線の下を走っている。

なぜ、そのまま走り続けるのか。菅原さんは気付いていないのか。

59.81キロ地点に接近。
走行中のピストから左手に分岐するピストにのる指示だ。
景色も左方向は、急峻な山が見え始め、山岳の始まりを感じさせる。
ライノは、相変わらず直進している。

59.81キロ距離ぴったりで、分岐を発見。
GPSでCAPを見ると、左方向ピストの進路の方位は、コマ図の指示と同じになりそうだ。
まだライノは右側200mくらいを直進中。やはりミスコースしたか。
そう思った瞬間、突然ライノはこっちに向かって進路を急激に変えた。
まるで映画のようにくるりと向きを変えたライノは、ピストの無い平原を荒っぽく横断し、目の前100mを横切り、左方向の平原に飛び出した。
そして、しばらく平原を走った後、私が乗るピストに飛び込んできた。
菅原さんの位置では、さっきの分岐は見えていないだろう。
どうやって判断したのか。
しかも、コースの復帰の動きも理解できない。距離はあわせたのか。
予想もしないライノの動きに、驚いた瞬間だった。

針路変更後、ピストはシングルになる。
まずはライノをパス。
今まで走ってきた方向の左側から山々が迫り、また右方向からも山が接近してくるので、進行方向に谷が形成され始めた。
谷の底の平地は緑豊かで、放牧された牛と、ゲルが点在する。
そして狭くなっていく谷に立ちふさがるように、山肌が白い、正面の斜面が壁のような山が前方に現れる。
つまり、この谷は行き止まりで、コースは谷底から空に向かって駆け上がっていくのだろう。
平原も狭くなりながら、細長く谷の奥に伸びていく。

シングルのピストは、右の山肌に沿うように谷の奥に進む。
時折ピストは分岐し、谷の底を曲がりくねって進むか、キャンバー気味の山の斜面をアップダウンを繰り返しながら直線的に進むかの選択となる。
どちらを選択しても、結局は一つに戻るのだが、試走の際はどちらを走ったのだろうか、そちらが安全かを絶えず考えながら走る。
このころになると、体も思考もほぐれ、ライディングも滑らかになっていた。
まれに、アップダウンのルートの選択をして、キャンバーが厳しい斜面を舐めるともあったが、リーンアウト気味に体重を谷側にかけ、事なきを得る。
このシングルピストで、#22荒木さん、#27清水さんを含む、数人のエントラントに追いつくが、走りのリズムが良かったこともあり、パスさせてもらった。

最初は滑らかだったピストの路面も、谷の奥に行くほど、雨や川に削られた凹凸が増え、ピストが細い場所では走りづらくなっていく。

ある山肌を、キャンバー気味のピストをトレースしながら回り込むと、コース外側にKTMを倒して何やら修理を行っている#24仲井さんが現れた。
後で聞いたことによれば、転倒し、タンクからガソリンが漏れ出したらしい。
ともかく、本人に笑顔があったので、先に行かせてもらう。

谷の向こうから、小さく古いバスが現れた。
さびて古い車体は、とことことピストを進み、この景色に溶け込んでいる。
すれ違いざま、中を覗くと、寿司詰めに人が乗っており、それぞれこちらに手を振ってくれている。
うれしさと同時に、ぎゅうぎゅうに押し込まれている様子が、笑いを誘った。
この後、このバスは仲井さんの場所で停止して、12人ものモンゴル人が降りてきて、彼を取り込んだらしい。

87.37キロ、正面にそびえる白い山を迂回し、谷底から駆け上がるように、ピストが右方向に分岐した。
空に伸びるように斜面を駆け上がるピスト。
斜度がゆるくなるところまで上ると、先ほどまで白い山が正面を塞いでいたのだが、園山のすそが見え、ほかの山と重なり合っているのが見えた。
ちょうど2つの山の重なったくぼみが、スガワラ峠なのだろうか。

スガワラ峠まで30キロ。
だが、まだ標高は上がっておらず、この後のコースのバリエーションの豊かさを匂わせていた。

|

« BTOU2007 ULANBAATAR-UVS | トップページ | BTOU2006レポート ETAP3(8月9日) その3 スガワラ峠へ2 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/48032/4511486

この記事へのトラックバック一覧です: BTOU2006レポート ETAP3(8月9日) その2 スガワラ峠へ1:

» 無利息比較 [無利息比較サイト]
無利息で比較サイトのご紹介です。 [続きを読む]

受信: 2007年1月18日 (木) 14時20分

« BTOU2007 ULANBAATAR-UVS | トップページ | BTOU2006レポート ETAP3(8月9日) その3 スガワラ峠へ2 »