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2006年11月11日 (土)

BTOU2006レポート ETAP2(8月8日) その4

RCPでの穏やかな1時間は、あっという間に過ぎ去っていった。
「残り8分」
オフィシャルにかけられた声に、ヘルメットを構えながら頷き、ゆっくりとヘルメットを被る。
ラリージャケットのベンチレーションは良いか。
キャメルの位置は、グローブのフィッテングは、ICOの距離は。
チェックを行いながら、ゆっくりとスタートラインにバイクを押す。
スタート位置は、モンゴルでは珍しい舗装道路を横切った場所にある。
マシンをスタートラインに並べ、時計を確認する。残り3分。

視界をコースの先に向けると、そこには穏やかな山岳地帯があった。
残り200キロ。どんなコースが待っているのか。
そして、日没まであと4時間強。

若干早まる鼓動を抑えるように呼吸を整え、じっとコースの先を見据える。
「残り1分」
ゆっくりとうなづき、同時にマップを数コマ先に送り、コースを確認する。
「10秒前」
山の色は、灰色の上に緑をまぶした、日本では見たこともない色をしている。
「5,4,3,2,1」
一瞬、夜になるというイメージが脳裏に走る。
「スタート」
ともかく、進むだけだ。
自分に活を入れるように、アクセルを開けた。

コースの前半は、穏やかな山岳地帯がつづく。
ピストは濃淡を繰り返しながら、並行した2本が続く。
時折、荒れたピストを避けるために平行したピストに移るので、草に隠れた部分に岩が潜んでいないことを祈りながら、走り続けた。
しばらくすると、登り斜面の向こうから、見覚えのあるXRが下ってくる。
#36三谷さんだ。
何があったのか?
あちらが停止したら止まろうと、ブレーキに指を掛けたが、彼は楽しげに通り過ぎてしまった。
後で知ったことだが、このときマップホルダーのステーが破損して、マップホルダが固定できなくなったため、修理のために後半をショートカットしたということだった。
彼のキャラクターのためか、深刻なトラブルが会ったとは思えなかった。
しかし、2日目で良かったというべきだろう。
今回のBTOUは、ECOクラス用に、3日目まで後半部分をショートカットできるようにコース設定されている。
ECOクラス以外も、ペナルティを受ければ、ショートカットでキャンプに迎えるのだ。
三谷さんは、明日以降にトラブルを持ち越さないように、あえてペナルティを受け入れて、キャンプに向かったのだ。
キャンプでは、スーパーメカニックのうなぎさんが、彼のマシンを復活させてくれるだろう。

さらにしばらく行くと、山肌を巻き込むように曲がる逆バンク上の右コーナーで、#23渡辺さんがコースアウトしていた。
既に復帰しかけており、渡辺さんの表情に笑顔があった様に見えたので、止まらずに走り続けた。

328.48キロ付近で、コマ図に無い、ピストの交差が現れた。
直進と右折、どちらも道なりと判断できる。
しばらく迷っていると#23渡辺さんが追いついてきた。
彼もしばらく迷っていたが、やがて付近のモンゴル人に声を掛け始めた。
「ライダー・・・・・・ ヘリコプター・・・」
名詞をつなげ、必死に話しかける。
ヘリコプターと聞いたモンゴル人が、直進方向のピストの方角を指差した。
どうやら、その方向にヘリが向かったらしい。

とりあえず、自分は直進方向を探すことにする。
直進方向のピストには砂が堆積していた。
方角は合っている。
周辺は完全に平原で、次のコマ図に描かれた丘は、はるか遠くに見えた。
次のコマまで3キロ。しかし、砂を書き分け先に進むが、次のコマは現れなかった。

急いで先ほどの分岐に戻る。
渡辺さんもまだ、分岐周辺で迷っていた。
とりあえず、合っていると確信できる328.48キロのコマに戻る。

再度走行を開始したが、やはり問題の分岐にコマが無いことが腑に落ちない。
だが、既に選択は1つに絞られているのだ。
休憩モードになり、モンゴル人と寛ぐ渡辺さんに別れを告げ、先に進んだ。

しばらく行くと、わずかに凹地になった路面の登り部分に探していた分岐を見つける。
GPSの方位を確認し、進路を変える。低い丘陵を越えると、再び平原に進む。

平原の向こうに、低いこげ茶色の建物の集合が見える。
モンゴルの町は、平原の向こうにこげ茶色の蜃気楼のように現れる。
それは、木の色であったり、壁の色であったりしたが、でも、全体の色合いは、こげ茶色であったように思う。
町に入ると、コマ図は太い幹線道路への左折を指示していた。
朝のブリーフィングでは、今日の一部の区間で舗装道路を走るとなっていたが、この幹線道路のようだ。

舗装道路は、まっすぐに続いていた。モンゴルは右側通行。ともかく事故を起こさないように右端を走る。
舗装はコンクリートで、表面は粗い感じ。日本のように美しい舗装ではない。
対向車は少なく、3キロ程度の舗装区間ですれ違ったのは、タンクローリー1台と車数台だった。タンクローリーは銀とくすんだ青で彩られ、自分の旧共産圏のイメージそのままであった。錆だらけのタンク車を追加で一台牽引していたのも、その印象を強くする。

舗装道路は直ぐに終わり、再びダートが始まる。
ピストは太く、何本にも分岐と集結を繰り返し、気を抜けない。ただ、どのピストもGPSの進行方向に集約していくのが見えていたので、迷うことはなさそうだ。
RCP出発以降、徐々に曇っていた空が、このときついに雨を降らしだした。
かなり強い雨で、ゴアジャケを使用していない自分にとって、このまましのげそうに無い。
体力の温存も考え、ここでレインウェアを着ることにする。
時間は、既に6時近くになり、残りは150KM。
実はレインウェアを着る時間すら惜しいのだが、しかし電池の残りを温存するように、体力を温存しようという理性が働いていた。

レインウェアを着て出発して直ぐ、#23渡辺さんに抜かれる。
抜きつ抜かれつ。まるで、ウサギと亀のようだと少し笑いながら、でもその亀も確実じゃないと苦笑もしてみる。

その直後の村もこげ茶色。
目印のテンプル(寺院)の前にゆっくりと進み、方位を確認。
コマ図の絵は、うまくニュアンスを汲み取る必要があり、周囲を眺める。
「村は脱出方向のCAPを確認すると間違いが少ない」
名古屋説明会での山田さんの言葉を思い出し、寺の前から広がるピストの方位を確認し、一番方位の近いピストに入る。

丘陵地帯を走り続け、380キロ地点の村に入る。
今度の村の出口のコマ図を見た瞬間、いやな予感が走る。
複数の分岐がまとまったその図は、また読み取るのに慣れが必要な空気を漂わせていた。
村のガソリンスタンドには#23渡辺さんの姿が見えた。
案の定、コマ図の地点のピストは縦横無尽に入り乱れ、コマ図の各分岐がどこに対応しているかが分かりずらい。
今回のコマ図では、脱出時方向のCAP表示が無く、迷いを深くさせた。
ともかく、数コマ先までコマ図を見て、行程をイメージするようにする。
何度か、村から出たり戻ったりしながら、10数分後に村を脱出する。
村に戻るたびに、子供たちがまちまちの方位を指差し、教えてくれるのだが、それは多くのライダーがいろんな方向に村を出て行ったことを意味しているのだろうか。

その後再び丘陵地帯を、時には電柱や鉄塔を目印に走り続け、430キロ付近のCPに着いたのは、午後7時15分。
のこり70キロで、あと2時間。
このペースで行けば、夜間走行は避けられそうだ。
オフィシャルによると、実質最後尾になったらしい。
つまり、#25大泉さんはRCPからショートカットでゴールに行ったし、#23渡辺さんには村の出口で迷っている間に抜かれたということだ。
まあ、いいやと開き直って、ともかくこれからミスをしないことだけ心がけようと言い聞かせていた。

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コメント

あの日は、RCP以降が山場になるのが目に見ていたのであえてペナルティを受け入れました。
あと、ちょっとでも早く帰れば、スペシャルメカのうなぎさんが何とかしてくれると思ったので。
もちろん、翌日には完璧!!
このまま、次のラリーにも使えます。
凄いっす!!感謝です!!

投稿: ラリーパパ | 2006年12月 2日 (土) 20時14分

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