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2006年8月31日 (木)

BTOU2006レポート ETAP2(8月8日) その1

ETAP2 BAYAN UNJUUL - ARVAYHEER
「緑なす、たおやかな草原で、テムジンはチンギスハーンに」
S:496.48km(ECO S:288.88km L:113.85km)

「ラリー2日目。1日目に起きた様々な問題を調整する能力と余裕はあっただろうか。大軍を率いて戦いに挑むために必要なものは、数十万の牛馬を養う豊かな草原にほかならない。この漠北に広がるたおやかな草原で、テムジンは成長し力を蓄えた。ラリーのルートは、その男の足跡をなぞるかのように、ひとたび西に向かう。そこは大軍を率いて西征に赴いた道であり、子のオゴティが壮麗な宮殿を築き、世界が長蛇の列を成し朝貢に辿った道だ。

RCPは西に向かう舗装路に出たところにある。そこにあるガソリンスタンドで給油をする。エコチャレンジはその舗装路を西にビバークへ。エコ部門のスペシャルのタイムはRCPまでのタイム÷288.88×496.48として算定する。リエゾンのタイムも勘案される。燃料消費はSS+リエゾンで算定する。はこれはETAP2と3のみの措置である。

いっぽうのラリーは、ため息のでるほどにそれは美しい草原に踏み込む。行程中ほんのわずかだが舗装路を使う、そこは特に気をつけて欲しい。給油はビバーク近くにあるスタンドで。」

この日のスタートは、7時(エコクラスは6時)。ブリーフィングは5時30分。
スムースにスタートに立つには、スタート2時間前に起床し、食事を済ませブリーフィング。
1時間前にパッキングなどを行い、30分前にはマシンの側に行くくらいがよさそうだ。

まだ暗い5時に起き、ゲルを出てレストランに向かう。
パルクフェルメニは、ミニが止まっていた。昨日就寝前に、数キロ先の山間部をさまようミニのライトを見ていたので、ほっとする。

レストランの扉に貼ってある、昨日のリザルトを確認。
31位。これが今日のスタート順になる。

食事は、スープ・バイキング形式の数品目。
レストランが狭いため、後からレストランに来た参加者に席を譲るために、食事を手早く済ませ、お気に入りのキングコーヒーを飲み、席を立つ。

5時30分、ブリーフィング開始。昨日の表彰のあとにコースの説明があるので、メモは必需品である。
6時、外が明るさを取り戻す中、ゲルで荷物を整理し、6時40分にランチパックを受け取りマシンの横に立つ。既に、エコクラスのスタートは終わっており、昨日のリザルトトップからスタートラインに並び始めている。

7時スタート開始。
澄んだ空気の中に、朝焼けを反射した黄色いダストが舞う中、次々に選手がピストに飛び出していく。
やがて、自分の名前が呼ばれ、チェックカードが渡される。いよいよ2日目のスタートだ。
後15台程度でスタートという時、エンジンをかけようとセルボタンを押す。
しばらくクランキングさせるが、火が入る気配が無い。
メイン・キルスイッチ、コック、チョークをあわててチェックするが問題は無い。
あわてて、キックを踏みおろすが反応がない。なぜだ?。ガソリンも正常なものになった。
昨日は問題なく、かかっていたじゃないか。

スタートはさらに進行し、あと数台でスタートという状況になり、焦りが募る。
しかし、エンジンは目覚めない。
前方の#36三谷さんがスタートする。
どうする?ともかく出るしかない。スタートできないことで、ペナルティは受けたくない。
スタート位置に並び、カウントダウンを受ける。

スタート。

その声と同時にマシンを降り、バイクを押し始める。
とりあえずコントロールエリア外にマシンを出さねばならない。
30秒ごとに、後続がスタートし、抜いていく。
路面がサンドのため、思いっきり押してもバイクが前に進まない。
息を切らしてバイクをコントロールエリアから出す。
サイドスタンドをかけてバイクを跨ぎ、キックを繰り返す。
既にスタートは終わり、最後尾になっている。
数十回キックしただろうか。
やっと、ボスボスとエンジンに火が入り始め、やがて面倒くさそうに目を覚ます。

ちくしょう、なにがあったんだ。

しばらくアイドリングを続け、エンジンの調子を確認する。
アクセルにも反応するようになった。
ともかく走り出そう。

湯気を上げるほど暑くなった体を冷やすため、ベンチレーションを全開にする。
既に閉鎖されたスタートを背に、ゆっくりとバイクをスタートさせた。

スタートが最後尾になったことで、不安が増していた。
それは、最後尾を走っていると、ナビゲーションのミスに気付きづらいということだ。
後方に別のエントラントがいないので、分岐で迷っていても、誰も追いついてこないので、自分の選択を相対的に判断できない。
他者の選択を知ることで間違いも起きるのだが、昨日何度かナビゲーションで悩んだことが、他者の選択を知りたいという欲求になっていた。

Fh0025


スタート後しばらくは硬いピストが続く。
朝焼けの光が溢れ、草原の緑がより濃く見える中を、スタート時の焦りと疲れを落ち着かせようと、ゆっくりとXRを走らせる。

次のクロスピストを左に・・・・。
スタート後数キロの分岐に、エコクラスのミニが4台停止していた。選手からは手が振られたので停止せず先に進む。
なにか深刻なトラブルだろうか。

10キロほど行くと、#36三谷さんが停止しているのが見える。
ナビ周りを確認している。ICOトラブルが継続しているのか。
こちらに気付いた三谷さんから、笑顔が返されたので停止せずに先に進む。

40キロ付近だろうか、コースはいったん砂が多くなる。
点在するゲルを縫うようにジグザグに曲がりくねる区間で、愛媛銀行のカブとジムニーに遭遇し、パスする。
一時間前に出た愛媛銀行に、こんなに早く遭遇するとは。
ミニもそうだが、なんて厳しい行程だろう。
今日はECOクラスはショートカットがあるが、フルコースになったときにゴールにたどり着くのか?
彼らにエールを送るために、パスした瞬間に左手を上げた。

その後、しばらくして硬い路面のピストに戻る。
ピストは、1組または2組で、昨日のように並行するピストが拡散するような場所も無いので安心してアクセルを開けていく。
しかしやがて、ピストに溝が刻まれ始める。
縦方向に刻まれた溝は、時にクレパスのように深くなり、ラインを間違うとフロントを落とし、前転する危険性がある。
溝の位置が頻繁に変わるため、頻繁にレーンチェンジを行うが、突発的に発生する縦溝にフロントがとられバランスを崩すことも多くなる。
さらに、コースは丘陵部になり、アップダウンが繰り返される。
雨が降ったときにピストが川の役割を果たすらしく、勾配のある部分では溝の成長が著しく、危険なクレパスが口をあけている。
加えて山の頂上部では、向こう側が見えないため、山を越えた瞬間に急にクレパスに出くわす可能性がある。
要所要所で減速しつつ、全体のスピードが落ちないように、ラインを選択していった。

スタート後75キロほど進んだだろうか。
路面はまだ、クレパスが時折牙をむく状態であり、集中力を必要としていた。
ある丘を越え下りに入った瞬間、次の丘の中腹に数台のバイクが止まり、数人の選手が集まっているのが見えた。
良く見ると、そのうち一人が手を振って合図を送っている。
ミスコース?
速度が速いため、現場には直ぐに接近する。
事故?
2組のピストが併走する現場で、右のピストに白いバイクが転倒している。
その横で、選手が横たわり、#32泉さんと#33桑島さんが、しゃがみこみながら取り囲んでいる。
白いバイクは、まるで地面にもぐりこんだように低い位置にあり、不自然な印象を受ける。
バイクはHPN、だとしたら・・・・・・。
横たわる選手をもう一度見ると、それは#12濱田さんだった。
そして、HPNの不自然な姿勢は、深いクレパスにはまり込んでいるからだった。

「車の後ろを走っていて、煙で前が見えなくて落ちたらしいの、出すの手伝って」
泉さんが声をかけてくる。
XR250をピストの外に止め、HPNに駆け寄る。
「ライノの後ろを走っていて、クレパスが見えなかった」
#12濱田さんの声が聞こえる。肩を抑える様子から怪我をしているようだが、意識ははっきりしているようだ。
しばらくすると後方から、#29大城さん、#23渡辺さんが追いついてくる。
彼らの助けを借り、HPNをクレパスから出す。車体のダメージは余り無いようだ。
ただ、濱田さんのダメージはどうなのか。
元医師の経歴をもつ#29大塚さんが、濱田さんの様子を伺う。
肩を脱臼したらしい。濱田さんの自己診断も同じようだ。
#29大塚さんや#32泉さんが、濱田さんに痛みなどを確認する。
濱田さんは、判断ミスへの後悔を口にする。
一方、出来れば走行を継続したいという強い意思もにじませる。

ともかく、脱臼を治療する必要がある。
直ぐに#32泉さんが、衛星携帯で本部への救急要請の連絡を開始する。
#33桑島さんは、GPSで現在位置を確認している。
だが、なかなか回線がつながらない。
泉さんが再び濱田さんに話しかけるため、自分が泉さんの携帯を預かりコールを続ける。
そのころ#36三谷さんが到着。
彼は理学療法士で、今回のようなダメージに対する知見は深い。
大塚さんとともに、濱田さんの状態を見、そしてオフィシャルへの連絡のため、患部付近に怪我の状況をマジックで記入していく。
呼び止められてから20分が経過。なぜか携帯はつながらない。
そのとき、丘の向こうから、オフィシャルの車が姿を現した。

オフィシャルカーには、モンゴル人医師と日本人医師が同乗していた。
直ぐに濱田さんの診察が始まる。
泉さんから事故の状況と、大塚さんと三谷さんから濱田さんの状況が説明される。
「今日はコースが長い。ここはわれわれが対応するので、早く出発したほうが良い」
オフィシャルから現場の選手に声がかかる。

その時点での時間は午前9時。
ETAP2は500キロ。この時点で80キロ弱しか走行していない。
現場はオフィシャルに預けられた。
残り420キロ。日没まで12時間。
何も無ければ問題の無い残り時間だが、何があるかわからない。
予感めいた不安がぬぐえない。

一瞬の偶然と判断で、事故が発生する。
自分に言い含めながらヘルメットを被り、XR250に跨る。
まだ選手の会話が残る現場を離れ、せかされるように先に進んだ。

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コメント

レポート楽しませて頂いてます。
自分もたどった道なので、「確かにそんな道だった~(^^)」
とか、思い返しながら読んでいます。

で、すいません、一点だけ。(^^;;
浜田さんの件ですが、私クレバスから出すときには参加出来ていないです(^^;;
その場にいれば間違いなくお手伝いしたんですが、、、。

と言うことで今後の展開を楽しみにしています。
では

投稿: 荒木 | 2006年8月31日 (木) 20時30分

荒木さん 
ご指摘ありがとうございます。
いえ、気付いてしまいましたね。
渡辺さんと勘違いしていたのに気付いて、直そうと思ったらコメントが付いていました。
出来るだけ正確に書こうとしているのですが、記憶の捏造もありそうなので、どんどん指摘お願いします。

投稿: ノムラ | 2006年8月31日 (木) 21時07分

事故のときは皆さんにお世話になりました。
どうもありがとうございました。

一応、事故状況ですけど、砂煙で見えない溝に落ちたんじゃなくて、砂煙を避けようとレーンチェンジしたところ、飛んじゃって、その先に回避不可能な溝があったという状況でした。

僕は見えないギャップに飛ばされたかと思ったんですが、すぐ後ろにいた大塚さんが正確に目撃してました。

たぶん、その時はみんな↑のように言ってたと思うので間違いではないのですが…一応。

投稿: hamaccc | 2006年8月31日 (木) 22時39分

>予感めいた不安がぬぐえない。

これはもしかして、私のマシンのナビゲーションステー破損の事だったのでは?

なーんちゃって。笑

いやはや、SSERの試走後に雨が降ったんでしょうね。マップに記載の無いトリプルコーション級のクレバスが山ほど出現した日でしたもんね。

投稿: ラリーパパ | 2006年9月 1日 (金) 00時02分

どーもです。
レポート拝見させてもらってます。

実は私もあのクレパスでやられてるんですよね。

スクリーンと右ミラーで済んで良かったですけど。

あれに落ちると一瞬で飛ばされます。

投稿: #24norio | 2006年9月 5日 (火) 00時24分

どーもです。
レポート拝見させてもらってます。

実は私もあのクレパスでやられてるんですよね。

スクリーンと右ミラーで済んで良かったですけど。

あれに落ちると一瞬で飛ばされます。

投稿: #24norio | 2006年9月 5日 (火) 00時25分

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